今日は久しぶりの夕焼けだった

 

いつもならとっくに梅雨明けだけど今年はおかしいね と皆が言う

空が曇っていても雨でも海が青いのが不思議だ

 

 

 

これから向かいの加計呂麻島へ渡るところ

 

7月3日に古仁屋へ入ってから雨が続いていたが今日は晴れた

伯父 伯母の友人に会った

島の人はみな優しい

少し髪を切った

 

 

 

お知らせ

2019年9月10日から同29日まで
大阪府豊中市の緑地公園駅すぐの書店blackbird booksにて
個展をさせていただきます。

過去作品「ヒキャリミシ」においてもテーマにした奄美大島、
中でも父一家のルーツがすべてある瀬戸内町。
(本島と加計呂麻等の位置関係が瀬戸内海のような内湾を形成している土地)
そこで自分の家系の足跡を追うことを主題としました。

とはいえほとんどの縁者がもう島にはいません。

人と故郷の関係や、そこから離れたときに起こること、
兄弟間での故郷の捉え方の違いについて。
そいう物事が浮かび上がってきはしないかと期待して調べてきました。

古書を読み、聞き取りを重ねたうえで、明日から半月ほど奄美へ撮影に行ってきます。

個展タイトルは「夏雨(ナツグレ)」です。

夏の終わりに。

 

 

 

 

身体の記憶

 

 

「初めて踊った(身体がダンスした)ときの記憶」って残っていますか?

 

ダンサーの中間アヤカさんからこの質問をいただいたとき、丸一日くらい考えてしまった。
自分は記憶への執着が強いと思っていたがよく反芻する記憶は「見た」ものがほとんどで
能動的に「踊った」といえる記憶はまるで出てこなかった。
幼稚園のお遊戯などはいくら考えても思い出せなかったが、寝る直前になって、
小学校の休み時間に繰り返しやっていたわらべ歌あそびの手足の感覚が
布団の中ですっかりよみがえってきたのだった。

3月24日、アヤカさんのコンテンポラリーダンス作品
「フリーウェイ・ダンス」を観に行った。
自分のわらべ歌あそびの記憶が他の数人(全員ダンスの専門家ではない)の記憶とともに
ダンスとして立ち上げられるとのことだった。
初単独にして公演時間は4時間。うち1時間はごはんの時間。ごはんの時間?

会場のDanceBoxは舞台があって客席があるような作りのはずが、
この日は客席がなく、かわりにおそろしくポップでキュートな庭園があった。
植木、お花、鹿おどし、石灯篭、天には笹?が浮いていて、超長いブランコがある。
どこでも自由に歩いてください 入退場も自由 寝ててもいい
ブランコに乗るのもオッケー(やったぁ!) というアナウンスからはじまる。

はっとする瞬間が何度もやってきて、それがアヤカさんが言う
「ダンスとしか呼ぶことのできない時間」なのかもしれない。
それはダンスを写真と言い換えても、もしかしたら同じ意味になるのかもしれない。
なんと舞台には写ルンですが設置してあったので、
何回か写真としか呼ぶことのできないダンスの時間を撮らせてもらった。

そのうち、その場のすべての動きがアヤカさんのダンスの一部に見えてきた。
庭師さんが植物に霧吹きで水やりしていたのを小さい男の子がずっと真似していて、
アヤカさんの動きにそれが重なったりした。
そして男の子は時々手をとめてダンスをじっと見ていた。
ほんとはやっちゃいけないことなんてないのかもしれないね。おおらかにひらけた時間。

一人の人が動くのをずっと見ていていいなんて!
4時間というのは、何かを見る尺としてはとても贅沢で良いと思う。
でもほんとは記憶を渡した時点から、ドラマトゥルク藤澤さんとの
公開ブレインストーミング的な往復書簡で思考を追うなどして、
もっとずっと長いダンスを見せてもらうことができたのだった。

 

いろいろ書きましたが平たく言うとアヤカさんのファンになりました。
ごはんの時間のteteのカレーも明日また食べに新長田へ行きます。

舞台からもらってきたお花が家の庭で咲いているので夢ではなかったはず。

 

 

 

 

八年前

 

今朝、レンタル暗室のテラコへ向かう阪急電車で、突然車両じゅうの携帯から警報が鳴った。
刹那心身が硬直したが、画面をよく見ると訓練なのだとわかった。

 

 

2011年3月11日

私は二十六歳で、進路未定のまま大学の卒業を間近に控えており、
その日は二回目か三回目の千代田区にある出版社でのアルバイトに出掛けていた。
口約束みたいな人づてにもらった仕事で、ごく簡単な編集の補助業務だった。
出勤途中に小学校の塀に鳩が尋常ではない様子でモゴモゴ蝟集していたのを見て
二回シャッターを切った。めずらしくモノクロフィルムが入っていた。

午後二時四十六分には、本に載せる店の住所や電話番号に間違いがないか、客を装い
時に訝しがられながら電話確認する作業をしていた。
すぐに揺れはおさまると思って平静を装い通話を続けたが、
そのうち尋常ではない未体験の横揺れになり
「すみません大きい地震がきたので切ります!」と一方的に電話を切った。

反射的に机の下に潜った。上からばさばさと物が落ちていく。
その状態で、斜め向かいの机の下にいる同年代の社員と目が合い、
互いにこわばった顔でつい会釈をした。

古いビルでも崩れることはなく、一時公園へ避難したがじきに戻り、
私に指示を出していた編集者は子供を迎えに早退してしまった。
JRが麻痺したことは早い段階で分かり、知る人もいないその会社に泊まることになった。
やるべきこともやれることもなくただ目の前にPCがあったので、
被災地の惨状をライブで見続けることになった。

夜になってコンビニに食べるものを買いに行ったが棚がガラガラでろくなものが残っていない。
ふだんは選ばない種類のカップ麺一個を買った。
多くはないが何人か他にも帰れない人がいて、お母さんみたいな社員がお菓子を分けてくれた。
おじさん社員は数人でワインを飲んだりしていた。
建物はふらふらと揺れ続けた。私も時々ふらふら歩いて外を眺めたりした。
携帯の警報があちこちで鳴り続けた。

朝からハードコンタクトをし続けていたから目がしばしばする。
携帯の充電器とコンタクトのケースとメガネ、持っていればよかった。
家族と恋人が心配だ。
恋人はチーズ工場に派遣のバイトと言っていたからチーズに埋もれてしまったかもしれない。

ほとんど寝ずに夜が明けた。
朝方やっと恋人に電話が繋がったが、地下鉄の駅まで歩いて楽しかったとか、
こちらの心配も知らず呑気な反応で拍子抜けした。

電車が動き出したようなので、とりあえず秋葉原駅まで歩くことにした。
駅のホームが見えるカフェが営業しており、そこでモーニングを食べながら
埼玉へ下る京浜東北線の様子を凝視するが混雑がひどくてとても乗れそうにない。
隣にいた人に何か尋ねた記憶がある。人との距離が平時と違っていた。

秋葉原から帰るのは不可能と判断し上野まで歩いてみる。
上野駅の外まで人の列があふれているのを見て、ここから帰るのも諦める。

さらに隣駅の日暮里へ行くことにした。もう裸眼で、這々の体で歩いていた。
谷中霊園の墓石がバタバタと倒れていて、ああすごい地震があったんだと思った。

日暮里駅は混んでいなかったが入ってくる電車が満員もいいところだった。
数本見送るも、状況が変わらないので無理矢理押し乗った。

とつぜん非日常に放り込まれ、当時の日常そのものであった母に会いたくてしょうがなかった。
午前中には帰ることができ、わりといつものようにへらへらした母と祖母が待っていた茶の間にひどく安心した。

それからいろんなものが少しずつ意味を変えたいびつな日常に入る。

 

 

以来、八年たった今でも外出先が歩いて帰れる範囲でなければ
携帯の充電器とコンタクトのケースとメガネだけは必ず持って行く。
本来わたしはそんなまめな人間ではないので、その瞬間いつも思い出してしまう。

最近二冊の関連本を読んだためか鮮明になった記憶を書き起こした。

「南三陸日記」三浦英之(集英社文庫)
「あの日からの或る日の絵とことば」筒井大介編(創元社)

震災から間もなく書かれたとても近くの言葉と、
時間が経ってから編まれたそこまで近くはない言葉。

 

 

 

出張写真

 

出張写真をはじめました。

個人の方向けのスナップフォトサービスです。

基本的にデータのみではなく

アルバムなどの形にしてお届けできればと思います。

 

 

 

 

 

 

 

ちかくの記念写真館 台紙

 

 

 

 

信頼の村上製本さんから
ちかくの記念写真館のための特製台紙が届きました

美しいまっさらの美濃和紙でくるんでいます

写真館のご予約は塩屋の食と空間「flag」
flagginshioya@gmail.com まで

 

 

 

第2回 ちかくの記念写真館

 

 

 

『ちかくの記念写真館』

 

ヘアスタイリストの久美子さん
yumahareの佳織さんとともに開く
ふつうの日のための写真館です

 

久美子さんは美容室が苦手な人も心地よく髪をまかせられるお方です
私も写真が苦手という方によろこんでいただけることがけっこうあります
佳織さんはたくさんの植物を連れて四万十から帰ってきます
10月の佳き日
どなたもお誘い合わせのうえ もちろんお一人でも ぜひお出かけください

 

◉お時間(10/20,21両日とも)
10時〜 11時〜 12時〜 13時半〜(21日×) 14時半〜(21日×)
上記よりご都合の良い時間をお選びください
ヘアスタイリング〜撮影の所要時間は約1時間です
撮影後にほっと休憩できるflagのお茶菓子をご用意いたします

 

◉ご予約
代表者様のご氏名/ご希望の日時(第1,第2希望)/写真に写る予定の人数
上記3点をflagginshioya@gmail.comへメールにてお知らせください
詳細のメールを返させていただきます

 

撮影はフィルムカメラで行います
暗室で1枚1枚手焼きした六切プリントを
信頼の村上製本の特製台紙におさめてお渡しします

portrait.

 

 

 

 

ホンマタカシ ニュードキュメンタリー映画 上映のお知らせ

 

 

 

住む町塩屋で2月に楽しみなイベントがあります

関わっているので 来ていただけるとうれしいです

http://www.nedogu.com/blog/archives/19614

 

 

 

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